完全な真空パック

どこかで書いたか話した気もするが、私が一番好きなとんちは一休さんに出てくる「屏風の虎」。足利義満にむかって「さあ、では退治しますから虎を屏風から出してください」と言ったときの一休の得意そうな顔を想像するとめっちゃ笑える。まあ、私が義満だったらそんな一休は斬殺してやるけどな。

と、そんなことを考えていて思いついたのが「とんちよりパンチの効いたニュースタイルコミック『バイオレンス一休さん』」。20年くらい前にはじまっていてほしかった。連載初期は一休さんのとんちが毎回裏目に出てしまう(キレた義満に斧で頭を割られたり、「このはしわたるべからず」で真ん中を渡ったら橋が腐っていて、しかもなぜか川はアマゾン川だったためピラニアに食われるとか)「ドタバタ編」。80年代末からは世界各地のいろんな問題を解決してまわる「トラブルシューター編」。ベルリンの壁をとんちで崩壊させたりパレスチナ問題を三方一両損の論理で解決したり(どうやるんだ)する。世間的にオウム真理教の事件が明るみに出る90年代半ばには麻原彰晃と一休の禅問答的シーンが延々と描かれる。ついにはなぜかブラックホールとなった一休が世界そのものを飲み込みはじめ、最終回の最終コマで「fin」の文字がブラックホールに吸い込まれて完結する。そんなマンガがあったらいいな。別に良くはないか。