林檎はなんにもいわないけれど林檎の気持はよくわかる(いろいろと嘘)

椎名林檎に「ギブス」という曲がありますよね。この曲の歌い出しのフレーズ、「あなたはすぐに写真を撮りたがる/あたしは何時も其れを厭がるの/だって写真になっちゃえばあたしが古くなるじゃない」って実に秀逸だよねという話を会社の先輩としていて、解釈がまるっきり違うのに驚いた。簡単にいうと、先輩の解釈は「写真に撮ることで『現在(いま)』が『過去』になってしまうこと、すなわち、かけがえのない動的な『生』がありふれた、硬直した『記録』になってしまうことを厭がっている」というもので、私の解釈は「写真のなかの『あたし』は、現実の『あたし』が年老いていっても永遠に若いまま(この曲が書かれた時期を考えるとずっと10代みたいな感じか)、すなわち、写真と比較することで自分の鮮度が落ちていくのを実感させられる可能性を厭がっている」というもの。逆ドリアン・グレイみたいな意味合いね。古くなるのは『写真』なのか『あたし』なのか、『いま』を含むそれ以降を生きていくのか『いま』のまま時が止まってしまえばいいと思うのか。日本語として素直に読めば先輩の解釈に落ち着くような気もするが、自分の8年間の感動が勘違いだったとは思いたくないのでそのまま受け入れることができない。

勝訴ストリップ

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関係ないけど、このブックレットの写真は浜崎あゆみみたいに見える。