フリーじゃないタイム(文体模写のつもり)

会社に向かう途中、覆面パトカーっていうんですかね、あの、ふつうの車にランプだけついてるやつがあるじゃないですか、あれっぽいやつを見たんですけど、ランプが赤じゃなくてオレンジっぽいやつだったんで、実は覆面パトカーじゃないのかもねとか思いながら、そう考えたら、他に急いで逃げてる雰囲気の車を見かけなかったし、車外に向けて何かをアナウンスしていたけど、私はiPod湯川潮音の新譜のいいとこを聴きながら歩いてたから、何を言ってるのかはわかんなかったりして、いまのところコスプレかなって思ってるんですけど。

そんなことを考えながら歩いていたら駅についたので電車に乗ったら、隣にバレーボール部のウインドブレーカー、ウインドブレーカーをウィンブレって略す文化にはなじめないんですけど、ていうか中学のときの部活、あ、ちなみにバスケ部ですけど、のときに部の共通のウインドブレーカーを作ろうかって話が立ち消えになって以来ウインドブレーカーにまったく縁のない生活を送っているんですけど、その、バレーボール部のウインドブレーカーを着た女子高生が隣に2人座って、片方が、「あたしいまからマンガ読むわー」って言ったらもう片方が「えー何巻?」と尋ねて、「39巻。」と答えていたので何の39巻かなと思ってチラ見したら『ONE PIECE』の39巻で、そういえば『ONE PIECE』をワンピって略す文化にもなじめないんですけど、でもいわゆる女子が身につけるワンピは好きなんですけど、いま女子高生が「マンガ」って言ったら『ONE PIECE』なのか、そうか、とだけ、思ったんですけど。

それでそれ以上特に興味もなくなったんで、目を閉じて、さっきから聴きつづけている湯川潮音の新譜に再度集中しはじめたら、ちょうど元スーパーカーのジュンジくんが作詞してる「どうかあしたは」という曲にさしかかっていて、あ、この曲が新しいアルバムのなかでいまのところいちばん好きなんですけど、この曲を聴いてるときの感じ、何かを思い出すな、と思ったら忌野清志郎の『冬の十字架』っていう「君が代」パンクバージョンで話題になったアルバムの中の「人間のクズ」という曲を聴いたときの感じ、気持ち、にどことなく似ているんだなと気付いたら、自分の中ではすごく納得して、そのまま寝ちゃって、起きたら会社の最寄り駅だったので急いで降りて、会社に行く途中コンビニで飲み物、あ、これは最近売ってるスターバックスのヘーゼルナッツクレームブリュレラテのことなんですけど、それを買ってコンビニを出てしばらくしたら会社に着いたので、いまから仕事するんですけど、本物かどうかよくわからない覆面パトカーのことをもう一度考えていたら、今日までひとかけらも興味がなかったのに、本物の覆面パトカーを、しかも、ふつうの車から覆面パトカーに変わる瞬間の覆面パトカーを、ぜひ一度見たい、みたいなそういう気持ちになってきて、そういうことってありませんかっていう、なんかそんな話なんですけど。