ひさしぶりに完全な衝動買いをしてしまった本がある。『自分の体で実験したい』だ。


自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝

自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝


書名を二度見したのは生まれて初めてかもしれない。先月の反省から購入を一瞬迷ったが、それは一瞬に過ぎなかったのもまた事実。まだ第1章しか読んでいないのだが、おもしろい。章題は「あぶり焼きになった英国紳士たち」。ジョージ・フォーダイスという、「人間はどれだけの熱に耐えられるか」という問いにほとんど取り憑かれた医師の話。


自分ひとりで「約五六度まで耐え」たフォーダイスは、「四人の紳士を招待して高温室に一緒に入ってもらい、九三度くらいまで温度を上げる」という実験をする。一人でやるのは危険な実験かもしれないが、この四人という設定の理由がまるでわからない。ひょっとしたら昨年2月、T中氏が、「白亜の連中五人くらいで同時に金髪にしたらおもろいんちゃうか」と発言したような、そんなノリだったのではないか、と考えることは私の自由だ。結局この日の実験では九二度まで耐えたらしい。これを踏まえてえがかれる「さらに温度を上げ、一二七度に挑戦」という部分が実に笑えるので引用する。

 だが、フォーダイスはまだ満足していなかった。彼はもう一度実験しようと手はずを整える。まず、あらかじめ部屋で丸一日ストーブを焚いておいた。温度をさらに上げるためである。また、前回の四人の紳士に加え、さらに四人を実験に誘った。


なんでだよ!なんで四人から八人にする必要があるんだよ!というわけで、この記述を読めば誰もが『男塾』を思い出すはずだ(少なくとも、私とI澤氏はそうだった。つまり、現時点では100%)。ていうか、四人が八人に増えたことを書く必要があるのかどうかも疑問だ。


著者は「はじめに」で結構まじめな目的でこの本を書きました、的なことを述べているが、こんな内容をふざけているんじゃなくて書いているとしたらそっちのほうがよっぽどふざけていると思う。わかりにくいかもしれないが、私はこの本を絶賛しているんです。いい本です。見つけた人は買おうぜ。