池袋に『ウナギのふしぎ』あれば、行って買ってやり

りさタソに夢を与えられた後ふつうに7時間強寝て起きる。NHK杯将棋トーナメント決勝を観戦。佐藤康光×森内俊之は決勝の組み合わせとしてなんの意外性もなかったが、将棋の内容がおもしろかったのでよかった。その後将棋連盟公式ホームページを見て、橋本崇載がC1→B2、行方尚史がB1→Aと昇級してたことを知る。特に橋本には来年度もがんばってもらいたい。A級とかB1とかがメンバー的に落ち着くにはまだ数年かかりそう。


午後は有意義に過ごそうと思い『自分の体で実験したい』の続きを読む。ジョン・ポール・スタップの章。人間が「どれくらいのGに耐えられるか」を自分の体で実験した男の話だ。いわゆる早熟の天才だが苦学生でもあったようで、そのタフさは次の部分からもうかがえる。

両親からの仕送りはわずかだったため、一日五〇セントで暮らした。生物学の授業で、モルモットの組織スライドを作って顕微鏡で観察したときには、モルモットの体の残りを料理して食べた。一九五五年の『タイム』誌で彼はこう話している。「呼吸をしている生き物なら、体にタンパク質があるはずだ。タンパク質があるなら、私は食べる」(p154)

ここを読んだときは思わず鼻水を吹いた。そうこうしているうちに思い出したのは、数週間前にI澤氏と、「こういうヘンな本を訳してる人にはヘンな仕事が集まるはず(cf.岸本佐知子)だから他の本も探して読もうぜ」的な話をしたこと。奥付で訳者の略歴を確認してみると『ウナギのふしぎ』が個人的にタイムリーな感じ。で、ネットで調べてみたらこの本は版元品切れ増刷未定。しかしまだ慌てるのは早いというわけでジュンク堂ホームページに行き、検索をかけると「在庫僅少1冊」の表示が。これは早速買いに行くべきだ、と思い立ち、特に外出の予定はなかったが池袋行きを決める。ここの決断は私にしては早く、宮澤賢治もびっくりだな、とひとり悦に入った。


さて池袋ジュンク堂に到着、店の検索機でちょこちょこやると「書棚は『7階:海の動物』です。在庫あり1冊」との表示。とりあえずプリントアウトして、この検索性の高さがジュンク堂の売りだよな、とか思いつつ7階に向かい、縦一列分くらいの「海の動物」コーナーをなめるように探すが、ない。一回全てをリセットして「何を探してるのか忘れてしまった」くらいの気持ちでまた探しても、ない。20分くらいで自分で探すのはあきらめ、店員さんに「この本探してるんですけど…」と先ほどプリントアウトした紙を手渡す。すぐどっかに探しに行ってくれた店員さんを待ちつつ、新しい気持ちで棚を眺める。クジラやイルカといったなるほど人気ありそう、な動物の本が多いのは想像の範囲内であったが、ウミウシの本が多かったのは意外。私は知らないけど、海の生き物好きの中には「ウミウシ萌え」的な派閥があって、「アメフラシ担」みたいな奴がいるのかもしれない。そんな人は北野勇作の『どーなつ』読んで狂喜したんだろうな、とか思っていたら5分くらいでさっきの店員さんが目当ての本を見つけてきてくれた。「後学のためにどうやって探したか教えてください」と聞こうとしたときには既に姿はなかった。夕方の書店員は忙しいから仕方ない。お礼の代わりに4冊他の本を購入して玄武でラーメン食って帰宅。

ウナギのふしぎ―驚き!世界の鰻食文化

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帰りの電車でぱらぱらと眺めた。いい感じだ。