綿矢りさ『夢を与える』を読了。

夢を与える

夢を与える

読んだ人はみんな絶賛してるくらいの勢いだから読むかと思って買った。どうせ読むなら「文藝」を買っておけばよかったな、とも思ったが、思っても仕方がない。
月〜金の午後1時30分からやってるドラマにこんな話ありそう的な感じと、筒井康隆「イチゴの日」(たぶん『薬菜飯店』に入ってるんだけど、最近書店で見かけないんだよなあ。短編集ではアレが一番好きなんだけど)を思わせる面白さが混ざりあった奇妙な小説。たしかに傑作かもしれない。筋にしても書き方にしても後半(p182以降)のほうが洗練されてるように思うが、私が一番綿矢りさっぽいと感じたのは中学の同級生男子・多摩の描き方だ。あきらかに恋情があるのにほんの少しの悪意をしみ出させる感じというか。中学生ってこんな感じだよな、と納得させられる。
あと、今回の著者近影を見て思ったけど、ビジュアル的には岩崎ひろみ(最近のほう。「ふたりっ子」のほう)に似てきたね。