森博嗣イナイ×イナイ』を読了。

イナイ×イナイ (講談社ノベルス)

イナイ×イナイ (講談社ノベルス)

GシリーズよりはこのXシリーズのほうがとっつきやすい。途中でなんとなく事件の真相がわかったが、物語内の事実を丹念に検証するのではなくて事実の語られ方から推測する、という私の読み方は、正統的なミステリファンのそれとは違う気がする。と、書いていることからわかるように、ミステリ的な解決はある。


そんなことよりも、

こういう場所があるのだな、ずっと昔からここにあったのだな、と真鍋は思った。(p.72)

という一行が印象に残った。古い建物、古い場所に対峙したときの不思議な感慨を的確に表現していると思う。


あとは、エピグラフに使われている谷崎潤一郎を読みたくなった。