「文藝」2008年冬号より白岩玄「空に唄う」を読了。

野ブタ。をプロデュース」のドラマ版で上原まり子役が戸田恵梨香だったことによって興奮して白岩玄まで過大評価してしまったのではないかという不安は杞憂だったっぽい。登場人物の使う言葉の選び方が年齢のわりに幼い感じなので読んでてちょっと軽いかなと思ってしまうが、意図的なものだと思う。

語り手である寺の息子・海生(23歳)が、碕沢さんちの娘(23歳)のお通夜に出たところ、彼女の幽霊(とは書いてないが、そのような存在)を見てしまう。どうやら自分にしか見えないらしい。と思っていると幽霊(のような存在)が話しかけてきて…というような話。そんなに斬新な設定というわけでもない気がするが、幽霊(のような存在)ができることとできないことの線引きとかがうまい。と考えていて、白岩玄の話のつくり方は二次創作的想像力というかメディアミックス的想像力とでも呼べそうなものを刺激するスタイルなんじゃないかと思いついた。「野ブタ。」ドラマ版にしても、クラスの人気者がいじめられっ子をプロデュースするという枠組みを利用して別の話を作ってみたって感じだし。

ひとつ不満を挙げるとすればじいちゃん(住職)の造形がいまいち。それこそドラマ化したら「海生のじいちゃんっていいキャラだよねー」「ねー」とか女子高生が言って終わりな感じ。阿部サダヲとかがやってるキャラの立ち位置の感じ。違うか。べつに女子高生にも阿部サダヲにも恨みはないっす。