もっとホメてくれ

と、福田吉兆が震えながら感激してたときの声援が正確に思い出せなくて困っている。手元にスラムダンクがないと実に不便だなあ。完全版買うか。


ここ最近マジで本が読めない私だが、むかし読んだマンガや最近読んだマンガについては思うところがあったり人と話して改めて考えたことがあったりするのでいくつかメモしておく。


・I澤・U山・K谷と飲んだときに思い出したのはスラムダンクの話。特にU山氏の発言によって青田と魚住の重要性に気づくことができたのは収穫。3年になるまで赤木を精神的に支えたのはチームメイト木暮だけでなく、ライバルである青田と魚住もまたその役割を果たしていたのではないかという視点。あと、個人的に山王戦に唯一ケチをつけるとしたら監督・堂本五郎の描写が浅いこと。豊玉の金平にさえ与えられていた見せ場がほとんどないってどういうことだ。まあ堂本は優等生的な監督だったと理解すればいいのかもしれないが。


・『世にも奇妙な漫☆画太郎』は本気で面白いんじゃないかと思えてきた。という話をしてるときにひ氏が漏らした「漫☆画太郎は安定しているんじゃないか」というセリフの真意(画太郎は朝7時に起きてジョギングして原稿を数ページ描いて…みたいな規則正しい暮らしをしているんじゃないか、という想像)はなんとなく核心を突いていそうな気がする。ところで井口昇の過去作品をオールナイトで見たとき、おばあちゃんという存在や原初的下ネタへの執着が画太郎と似てるなーと思ったのだが、そう感じてる人はあまりいないんだろうか。


・そして一番最近読んだのは『団地ともお』12巻。先月半ばくらいにしゃべったときM氏が技法上の革新性を指摘していた(主にカメラが切り替わるときの技法についてだったと記憶している)のを思い出しながら読んだ。それとはほとんど関係ない話で、すごくわかりにくい話だと思うが、内容が『どんぐり民話館』や『つねならぬ話』の時期の星新一みたいになってきたんじゃないかというのが12巻を読んだ個人的な印象。やっぱりこの人はこの世のすべてを描こうとしているんじゃないか的な。特に「犯人をさがせ容疑者ともお」「ラムネのビンは巡り巡るよともお」あたりにそれを感じた。


・漫画の話ではなくなるが、星新一作品を本気で論じた文章が読みたい。最相葉月の本はたぶん重要な本なんだろうけどレビューとかを読む限り私が一番読みたいものからはズレているっぽい。今まで読んだ中で私がイメージするものに近いのは、筒井康隆が「紙の城」かなんかを中心にして論じたものなんだが、出典が思い出せない。最初に筒井康隆をほんとうにすごいと思ったのはその文章を読んだときだったのにも関わらず。


・『打撃天使ルリ』はドラマがあまりに傑作になってしまったため原作を読むのが怖い。しかし読みたい。だいたい山本康人は「正義とはなにか」とか「ほんとうに強いとはどういうことか」みたいな普遍的な素材を扱っているのに、それをあまりに個性的に料理するもんだからなんのこっちゃわからなくなってしまう、だがそこがいい、的漫画家なので、打撃天使ルリの原作はきっともっとカオスな話のはずだ。それを若干薄めたために一本芯が通ってふつうに傑作になってしまったのが今回の実写化だったのではないかと思う。原作読んでから思えって話だが。


・そしてかつて山本康人のアシスタントだった若杉公徳もやっぱりそのイズムを継承してるんだと思う。DMCだって根本にあるテーマは普遍的なもので、それを誰も掘り進まない方向に掘っていったら純金のうんこが出てきて大儲けみたいな感じの成功なんじゃなかろうか。何を言ってるのか自分でもわからなくなってきた。