4日は高校時代の友人と会食。数日前に「転職しよっかなー」的内容のメールをもらっていたので今の仕事やめたいの?と導入したところ、「やめたいってか、去年の年末にやめた」との返事で衝撃。だったら転職じゃなくて再就職じゃねーか、ゲンミツには。「仕事しないのにも飽きたし、そろそろ働こうかな」的発言もあり、なんという現代人、と思った。


まあそんなに深刻には考えていないようだったのでまた暇なとき遊ぼうぜ、という感じで解散。帰りの電車の中、私は耳にイヤホンを差し込まないまま、川崎徹「彼女は長い間猫に話しかけた」を読みはじめた。

彼女は長い間猫に話しかけた

彼女は長い間猫に話しかけた

そんなに読んで、どうするの?』で豊崎由美がとりあげてた。ちょっとヘンな日本語のタイトルも印象に残っていたのでなんとなく買った本。余命幾許もないらしい父親の病室、というヘヴィな場所からはじまる物語で、ああ、なんか読みたいけど読みたくねえ。的な気分でいるところに、関西弁(というくくり方を関西の人は嫌がるけど、それ以上の分類は私には難しいから、以降もこう記述し続けるよ)をしゃべる男子4人組甲乙丙丁が登場。私の隣に2人、対面に2人座り、会話を続けた。


赤の他人の会話を盗み聴くのはあまり趣味のよいことではない、とわかっているのだが、会話が聞こえないほど読書に集中しているわけでもなく、また、いまさら音楽を聴きはじめるのもなんとなく憚られたので、聞いていないふりをしながら会話を聞き続けた。彼らは同じ大学に通う大学生で、しかも大学入学以前、高校か予備校か知らないがどっかで時空を共有してたらしく、思い出話と現在の話が入り混じった会話を繰り広げていた。4人のうち1人だけミクシーを知らない人物がいて、ほかの3人が懸命に説明している。コミュニティとは何か、的な話から4人共通の趣味らしい音楽の話に。JAPANに載ってるような感じのミュージシャンの名前が飛び交い、そのうち××というバンドの話になった。


甲:××、俺は結構好きやで。恰好もきょうの丙みたいな感じのしとるし。
乙:丙の着とるシャツ、それ何の柄なん?
丙:トリさんや。
乙:トリ「さん」て。おかんか(笑)。
丁:なんやその服、ちょっとええビスケットの入っとるカンカンみたいな模様やな。


この丁の発言が個人的にめちゃくちゃツボで、頬肉の内側を軽く噛んで堪えないと笑ってしまいそうだった。丁がかなりセンスいい奴なのは間違いないが、こういう感じ――おもしろいんだけど同時にどこかノスタルジックな感じ――って、関西弁とかなり相性がいいような気がする。どうしてだろう。なにか風土的なものがあるんだろうか。白亜まわりでもT中・O本の両氏が、これに近いセンスを持っているように感じる。


4人組はその後もいろいろと愉快な話を続けていたので、彼らが揃って降りるまでの10分弱、私の読書はまったく進まなかった。